教育の特色

私たちは、21世紀の都市が達成すべき価値観は「安全」、「環境」および「創生」であると考えています。学部レベルの教育では、伝統的な土木工学の科目を基盤として、これらの価値目標を達成するための基礎となる科目を用意しました。また、近年の社会基盤事業では、プロジェクトに関する専門知識だけではなく、一般市民に対する説明能力やコミュニケーション能力が不可欠となってきているため、具体的な事例を通じた少人数教育により学生の能力向上を図ります。さらに、時代の要請にあわせ、カリキュラムを柔軟に変更することで、つねに最新の技術を身につけ、かつ、国際的にも活躍できる技術者や研究者を養成する教育体制を整えています。


見学会で明石海峡大橋をわたる学生たち

明石大橋

学部カリキュラム

授業科目

  • 測量学
  • 応用測量学
  • 測量学実習Ⅰ・II
  • 実験及び安全指導Ⅰ・II
  • 土木CAD製図
  • 連続体力学
  • 材料工学
  • 構造力学I・II・III
  • 構造動力学
  • 地震安全工学
  • コンクリート構造学
  • 橋梁工学
  • 水工学の基礎
  • 管路・開水路の水理学
  • 河川・水文学
  • 海岸・港湾工学
  • 土質力学I・II・III
  • 地盤基礎工学
  • 都市安全工学
  • 数理計画I・II
  • 費用便益分析
  • 都市地域計画
  • 交通工学
  • 地球環境論
  • 水圏環境工学
  • 地圏環境工学
  • 都市環境工学
  • 上水道工学
  • 下水道工学
  • シヴィックデザイン
  • 市民工学概論
  • 市民工学のための技術者倫理
  • 市民工学のための確率・統計学
  • 市民工学のための経済学
  • 創造思考セミナール
  • 数値計算I・II
  • 国際関係論
  • 学外実習
  • 土木設計学
  • プロジェクトマネジメント
  • 合意形成論
  • 公共施設工学

市民工学に必要となる様々な実験: 実験及び安全指導Ⅰ・II

構造物の建設計画・設計を行う際に必要となる市民工学各分野(構造材料、水理、土質)に関する実験を行います。実験中には機械装置・電気機器・電動工具・薬品などの取り扱いや重量物の移動作業などの安全に十分な配慮が必要となるため、作業の安全に関する基礎知識および技術者倫理の習得を行います。
構造材料実験では、コンクリートの配合設計を行い、作成したコンクリートの力学特性を調べます。鉄筋コンクリートはりの曲げ・せん断に関する力学挙動を把握するための実験を行います。そして、鋼材の強度特性および構造物の静力学の挙動を確認するための実験を行います。
水理実験では、簡単な装置を用いた室内水理実験により、運動量則・ベルヌーイの定理・渦発生・摩擦法則・水面波動など、市民工学において重要な流れに関する特性・メカニズムの理解に繋げます。
土質実験では、室内土質実験により、土構造物に設計する際に必要な土質定数の算定法を学びます。実験を通じて,土質分類・変形強度特性・締固め特性の理解に繋げます。


橋やダムを造る材料の強さを知る

川の流れと市民の暮らしを調べる

災害がもたらす地盤被害を測る

コンピュータを活用するための知識と技術の習得: 数値計算I・II

今日の情報化社会においては、コンピュータを活用した分析が問題解決のために欠かせないものとなっています。これは市民工学の分野においても例外ではなく、社会基盤施設の設計や災害リスクの評価、交通システムや都市構造の予測など、様々な分析に大規模なシミュレーションが活用されています。構造物・自然環境・都市のモニタリングから得られる膨大なデータを分析に利用するためのシステムの構築も重要な課題です。このように、コンピュータの活用に関する知識と技術が、市民工学分野の技術者に求められる素養となっていることを踏まえ、市民工学科は講義科目「数値計算I」、「数値計算II」を2022年度から新たに開講しました。この授業では、アルゴリズムの構築や応⽤プログラミング技法などに関する知識を習得し、研究で用いられるような高度な分析を行うための基盤となる能力を養います。

卒業研究にあたっての基礎技術の習得のための少人数教育: 創造思考ゼミナール

1グループ当たり8~16名程度に分かれて、市民工学を構成する各系(構造系・地盤系・水工系・計画系)の研究活動に取り組むことにより、創造的思考のための問題発見能力やディベート能力を養うだけでなく、一人ひとりの分析・批判・評価能力やプレゼンテーション能力も養います。 受講生は、4年次で卒業研究を始めるにあたって不可欠な基礎的な技術として、海外の専門資料の調べ方、データの分析アプローチ、研究資料の作り方、科学論文の様式と書き方、口頭発表の仕方などを習得します。

卒業研究

学部最終学年の学生は、市民工学科および都市安全研究センター所属の教員で構成される研究グループに配属され、各教員の指導のもとに卒業研究を行います。各研究グループは教員1名から2名で構成されます。
市民工学科・市民工学専攻で行われている具体的な研究についてはこちらで紹介しています

カリキュラム・シラバスの参照

詳細なカリキュラムは学生便覧に掲載されています。工学部ホームページからダウンロードできます。
最新のシラバスはこちらのWebページから閲覧できます。

在学生・卒業生の声

在学生の声

A:「大学で勉強する1番の魅力は、やっぱり自分の興味のある分野を専門的に勉強できるってことだよね。」

B:「そうだね、高校時代と比べて狭い分野の内容に絞られるから、同じような勉強している友達と議論したりもできるしね。」

A:「似たようなことやりたいけど、全然違う考えを持った人といっぱい出会えることもすごく魅力的だよね。」

C:「あとやっぱり設備が整ってる! 図書館にパソコンに知識豊富な先生!」

B:「そうだねー。けどそれをどう活かすかは自分次第っていうのもまた楽しいところだね(笑)」

A:「何にせよ、自分からあれしたい、これしたいっていうのが叶う場所だよね。」


水理実験中の学生

河川見学会

卒業生の声: たくさんの魅力的な研究テーマ


丸山 満帆
(2015年学部卒業、2017年修士課程修了)


神戸大学を卒業後に神戸大学大学院に進学し、修了後の現在は、名古屋鉄道株式会社で働いています。就業先では、主に鉄道に関連する仕事に携わっています。
大学では研究室に所属して、教員の指導のもとで研究をします。私の場合、大学と大学院で違う研究室に属しました。大学生のときはクルマの賢い使い方について、大学院生のときは水害時の避難行動について研究しました。まったく違うテーマで研究をしたことで、多角的なものの見方を学べてよかったと感じています。
大学・大学院で学んだことは、学校以外の場面も含め、多くの場面で活かすことができていると思います。神戸大学には、魅力的な研究テーマがたくさんあります。高校生の皆さんにはぜひ学びに来てほしいと思います。

卒業生の声: 市民工学科で得た知識と経験を仕事に活かす


矢持 真由子(2014年学部卒業)


大学卒業後、神戸市役所で働いています。今の仕事は、災害に強く景観やバリアフリーに配慮した設計を行い、工事を無事に完成させるよう現場監督することです。道路など公共施設の整備を進める現場で、役に立つのは市民工学科で得た様々な経験です。授業で幅広い知識が学べることはもちろん、実験や現場見学会があったり、合意形成の討論会をしたり、橋梁の模型を作ってプレゼンしたり、実務に繋がる体験をすることができました。また、ゼミやチームの活動が多く、同期と意見交換をしながら楽しく勉強する環境がありました。これらの経験が、普段の設計、工事の調整や市民説明の場で日々活きています。皆さんも、市民工学科で得た知識や経験を活かして成長してみませんか。