私たちが目指すもの

安全・安心で環境に調和した
市民社会の創成

市民工学科・市民工学専攻は、従来、土木工学と呼ばれていた専門分野を母体とする学科・専攻です。
学科・専攻の英語名称が"Civil Engineering"であることからもわかるように、市民工学は、橋・鉄道・空港や上下水道など公共利用のための社会基盤施設の建設と保全を通じて、安全・安心で環境に調和した市民社会を創成することを目指す工学領域です。新たな都市・地域施設の建設だけではなく、老朽化してきた施設の更新や維持管理、そしてそれらを支える技術開発が重要な課題となってきています。
最近ではとくに、環境に配慮するとともに市民の意見を広く反映した都市・地域の計画や施設計画が進められるようになり、設計基準や制度の国際標準化も大きく進展してきています。
このような背景の下で、私たちは従来の土木工学を包含した幅広い内容を持つ工学領域を21世紀型の新しいCivil Engineering(=市民工学)としてとらえ、土木工学を基盤としつつ安全・安心で環境に調和した市民社会の創成のための基礎的な教育と研究を進める学科として、市民工学科・市民工学専攻を設立しました。
私たちは21世紀の市民社会が必要とする「パブリックサービス」の担い手を志向する学生を受け入れたいと考えています。

パブリックサービスの役割

  • 安全・安心:地震や洪水など自然災害から私達を守り安全で安心な生活環境を提供すること。
  • 自然共生:自然環境と調和した社会基盤を整備し、未来の人類に良好な地球環境を継承すること。
  • 地域協働:地域市民の意向を反映し個性豊かな都市・地域空間を創出すること。
  • 国際協力:海外での社会基盤整備や災害援助など国際社会の発展を支援すること。



市民工学のカバーする領域


フランスのミヨー高架橋

PC橋の補修後モニタリング

地下鉄工事現場の安全管理システムを周辺住民に情報開示(ニューデリー)

中央に魚道を設置したアーチ型の堰(武庫川下流)

地震被害調査中の教員と学生

環境負荷の低い交通手段・シェアサイクル

育てたい人材

パブリックサービスを遂行する人材は、スペシャリストとジェネラリストに大きく分類できます。前者はより高い技術的専門性を有する人材集団であり、後者は幅広くかつバランスのとれた専門知識を有する総合性の高い人材集団です。それぞれの人材集団は国内(ローカルエリア)のプロジェクト等が対象の場合は協働性が要求され、それが海外(グローバルエリア)に展開する場合には言語能力を含めた豊かな国際性が必須となります。

国内的には、過酷な自然条件のもと、美しい国土の持続的発展に資する高度かつ高質の社会基盤整備を遂行できる人材を養成していきたいと考えています。国外に対しては、わが国の近代化のなかで蓄積してきた高度の技術・科学を、当該国・地域の自然的・社会的条件に配慮しながら適応させることのできる人材を養成します。


輩出する人材が備えるべき資質

具体的な職業イメージ

学科の構成

市民工学科・市民工学専攻は、人間安全工学講座と環境共生工学講座の2つの講座から構成されます。人間安全工学講座では、巨大地震などの自然災害や交通事故などの社会災害に対して安全な都市・地域の創造に関する教育研究を行います。環境共生工学講座では、自然と共生する都市・地域を目指した環境の保全と都市施設の維持管理・再生に関する教育研究を行います。

人間安全工学講座

巨大地震などの自然災害や交通事故などの社会災害に対して安全な都市・地域を創造するための基礎的な学問領域として、社会の安全に関わる構造安全工学、地盤安全工学、交通システム工学の分野と、自然災害からの都市の防災に関する地盤防災工学、地震減災工学、流域防災工学の分野に関する教育研究を行います。

環境共生工学講座

自然と共生する都市・地域を目指した環境の保全と都市施設の維持管理・再生に関する基礎的な学問領域として、都市・地域の環境保全に関わる環境流体工学、水圏環境工学、地圏環境工学の分野と、自然共生型の都市・地域の維持管理と再生に関わる広域環境工学、都市保全工学、都市経営工学に関する教育研究を行います。


橋梁の塩害調査

神戸市下水道トンネルの視察

魚野川流量観測の様子

橋脚試験体への水平力載荷実験

埋設管に作用する地盤拘束力実験

地震応答解析のための地盤モデル自動生成