神戸大学大学院工学研究科・工学部 市民工学専攻・市民工学科

学部教育

1. 教育の特色

私たちは、21世紀の都市が達成すべき価値観は「安全」、「環境」および「創生」であると考えています。学部レベルの教育では、伝統的な土木工学の科目を基盤として、これらの価値目標を達成するための基礎となる科目を用意しました。また、近年の社会基盤事業では、プロジェクトに関する専門知識だけではなく、一般市民に対する説明能力やコミュニケーション能力が不可欠となってきているため、具体的な事例を通じた少人数教育により学生の能力向上を図ります。さらに、時代の要請にあわせ、カリキュラムを柔軟に変更することで、つねに最新の技術を身につけ、かつ、国際的にも活躍できる技術者や研究者を養成する教育体制を整えています。

見学会で明石海峡大橋をわたる学生たち
明石大橋

2. 学部カリキュラム

神戸大学工学部市民工学科の学習・教育目標

  2009年度以前入学生の 学習・教育目標 2010年度以降入学生の 学習・教育目標

説明

  一   般   (A) 多面的思考 (A) 多面的思考
技術者倫理
(A-1) 物事を多面的な視点から把握・分析・考察できる能力を養う.
(B) 技術者倫理 (A-2) 土木事業の社会的重要性と土木技術者の社会的責任を自覚し,自ら判断・提言できる技術者倫理を身に付ける.
(C) 一般基礎学力 (B) 基礎学力 土木技術者として必要な,数学,自然科学,人文科学,社会科学の主要科目と情報基礎などの一般基礎学力を身に付ける.
    専     門 (D) 専門 (C) 専門基礎学力 土木材料・力学一般/構造工学・地震工学/地盤工学/水工水理学/交通工学・国土計画/環境システムのうち3分野以上の基礎知識を身に付け,土木構造物と関連システムを計画,設計,施工,維持,管理,評価する上で必要な専門知識を習得する.
(E) 解析 (D) 専門応用力 (D-1) 実験・実習科目を通して,理論と実現象の関係を把握し,理解を深めるとともに,実問題を解析し説明できる能力を習得する.
(F) ツール応用 創造思考 (D-2) 実務に必要な機器操作技術や情報処理技術など最新のツールが使え,自ら課題を探求でき,分析・考察し,結果を説明できる能力を習得する.
(G) 総合的課題解決 (D-3) 数学,自然科学,社会科学,人文科学,専門基礎,土木専門科目の知識を総動員して,課題を探求し,論理を組み立て,問題を解決する総合的なデザイン能力を習得する.
(H) 環境・文化・歴史 (D-4) 自然環境,景観,文化,歴史の意義を理解し,調和のとれた社会基盤整備に必要な知識を身に付ける.
  総   合 (I) 協働・コミュニケーション (E) コミュニケーション能力 自己の考えを論理的,客観的に記述・説明でき,発表,討議が行える日本語能力を身に付け,さらに異なる専門分野,異なる国の人々とも共同で仕事のできる協調性と指導力を身に付ける.
(J) 生涯学習 (F) 実務能力   (F-1) 社会の要請,変化に柔軟に対応して自主的,継続的に学習できる能力を身に付ける.
(K) 計画的実務遂行 (F-2) 自然的および社会経済的制約の下で問題を解決し,計画的に仕事を進め,まとめる能力を身に付ける.
(L) 自己管理 (F-3) 自己の健康やスケジュールを管理し,他人と協調して仕事を進める能力を身に付ける.

主な授業科目

創造思考ゼミナール I ,創造思考ゼミナール II ,測量学,測量学実習,土木 CAD 製図,実験及び安全指導,数値計算実習,連続体力学,材料工学,構造力学 I ,構造力学 III ,構造力学 II 及び演習,コンクリート構造学,構造動力学,地震安全工学,橋梁工学,水工学の基礎及び演習,管路・開水路の水理学及び演習,河川・流域工学,水文学,海岸・港湾工学,地圏環境工学,上下水道工学,土質力学 I 及び演習,土質力学 II 及び演習,地盤基礎工学,地形工学,計画学 I 及び演習,計画学 II ,都市地域計画,交通工学,地球環境論,水圏環境工学,都市環境工学,シビックデザイン,都市安全工学

創造思考ゼミナール

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市民工学科としての新設科目

市民工学概論,市民工学倫理,市民工学のための確率・統計学,国際関係論,学外実習,プロジェクトマネジメント,合意形成論,公共施設工学,土木設計学,市民工学のための経済学

卒業研究

学部最終学年の学生は、市民工学科および都市安全研究センター所属の教員で構成される研究グループに配属され、各教員の指導のもとに卒業研究を行います。各研究グループは教員1名から2名で構成されます。各研究グループにおける教育・研究内容の詳細はこちらをご覧ください(平成27年度配属学生むけ説明資料)

カリキュラム・シラバスの参照

2008年度以降入学生のカリキュラムは学生便覧に掲載されています。また、2007年以前入学生のカリキュラムは授業要覧に掲載されています。工学部ホームページからダウンロードできます。

学生便覧
2008年度2009年度2010年度2011年度2012年度2013年度2014年度
2015年度

最新のシラバスはこちらのWebページから閲覧できます.

3. 日本技術者教育認定機構(JABEE)認定コース (2017年3月卒業生まで対象)

神戸大学工学部建設学科土木工学コース(現市民工学科)は、2006年度に日本技術者教育認定機構(Japan Accreditation Board for Engineering Education, JABEE)による審査を受け、2006年4月1日から2011年3月31日までの5年間、JABEE技術者教育プログラム(土木および土木関連分野)として認定されました。また、2011年度に認定継続審査を受審し、2011年4月1日から2017年3月31日までの6年間、継続認定されました。このことにより、2007年3月から2017年3月までの間に建設学科土木工学コースを卒業した者および2011年3月から2017年3月までの間に市民工学科を卒業した者は、技術士補となる資格の特例としての「認定された教育課程の修了者」として文部科学大臣の指定を受けて技術士の第一次試験が免除されることになります。なお、2005年度以降のJABEE技術者認定プログラム修了生は、ワシントン協定加盟国における同一分野の技術者教育プログラム修了生と同等性を有することが加盟国間で相互承認されています。

関連のホームページ   日本技術士会   日本技術者教育認定機構

4.研究トピックス

データを活かし都市や交通をよりよいものに

都市や交通をよりよいものにするためには、それらが人々によってどのように利用されているのかを観測することが必要です。近年、都市の人の動きを観測する手段としてビッグデータという言葉が流行しています。しかし、市民工学の分野のひとつである交通工学では、データを取得しそれを都市交通の計画や運用に活かすことは何十年も昔から行われており、ビッグデータも含めた新しい技術を活用するための先端的な研究も継続的に行われています。観測したデータの活用方法も重要な研究テーマです。データを基に人の動きを記述し、それを数学やコンピュータで計算し現象予測や施策評価を行います。人々の意思や行動が相互作用することによる現象は思いのほか複雑で、ゲーム理論など経済学のトピックとも関連する研究が行われています。(井料研究室)

地盤災害から命を守る!

1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災、2014年の広島市の土砂災害、我が国は、地震や豪雨による地盤災害の危険に絶えず直面しています。頻発する地盤災害から貴方の命を守る!貴方にとって大切な人々の命を守る! そのために、巨大地震が来ようが、大雨が降ろうが、自然の脅威に負けない街!このような湧き出る思いを胸に、我々の宿命を私達の使命に変える挑戦を続けています。都市化が進むと、雨水が地盤に浸透する量が減るため、下水管の中の水が噴水のように地上に溢れ出す、鉄砲水が人々を襲う。このような都市型水害を減らすために、道路の側溝沿いにたくさんの浸透枡を設けて、雨水を地盤内に強制的に浸透させる方法があります。そこで、近隣の自治体と連携し、雨水浸透適地マップを作成しています。2008年の都賀川での痛ましい事故を決して忘れないためにも。(澁谷・片岡研究室)

都市型水害軽減のための雨水浸透適地マップの作成

コンクリート構造物の性能の評価

人々の移動や物流の社会的基盤となる道路や鉄道などの構造物には、コンクリートで造られたものがあります。これらの構造物は簡単には取り替えることができませんので、新しく造った構造物が安全で、人々が安心して使うことができるのはもちろん、古くなってもその「性能」を発揮させつづける必要があります。コンクリート構造物の「性能」、例えばどの程度の力に耐えることができるか、また大きな力や変形にどのように抵抗するかを詳しく知ることが、安全・安心を実現するために重要です。われわれの研究では、画像解析により平面領域を対象としたひずみ計測を行い、コンクリートのひび割れや圧縮ひずみが卓越する領域を特定し、それらを詳しく分析して構造部材が破壊に至るまでの挙動と関連づけることに成功しています。そのとき、一般的な高解像度デジタルカメラのほか、急激に進展する部材破壊では高速度カメラを使用したり、非常に微細なひび割れにはマイクロスコープを利用したりと、状況に応じた測定を行います。これらの一連の研究を通して、社会基盤構造物の未来を想像し、創像する(未来のイメージと新たなビジョンを示す)ことを目指します。(三木研究室)

マイクロスコープを用いたコンクリートのひび割れ観察と画像解析結果

海を理解して沿岸域をまもる

我が国の国土は急峻であるため、人口や資産の大部分は標高の低い沿岸域に集中しています。この沿岸域は、台風に伴う高潮や高波、海底地震による津波などの風水害にさらされやすい場所です。一方で、沿岸域は海洋生物の貴重な生息空間であり、漁業や水産業が営まれ、船舶が航行し、海底鉱物資源の供給源にもなり得る経済活動の盛んな水域です。しかしながら、地球温暖化の影響や、沿岸に立地している下水処理場や発電所などからの排水の影響を受けやすい場所でもあり、例えば不慮の事故により汚染物質の海洋流出が生じた場合、沿岸域はとても脆弱です。沿岸域をまもることは我々の重要なミッションの一つであり、これらの問題の解決に向けて、海の波や流れに関する流体力学的な研究を行い、海域での物質輸送や拡散過程、海洋生態系へのインパクトの評価を行います。そのために、スーパーコンピュータを用いた海洋流動シミュレーション、現地観測、衛星リモートセンシング技術などを統合して、複雑な沿岸海洋防災・環境問題に取り組んでいます。(内山研究室)

サンゴ礁の上に形成されたポケットビーチ(沖縄恩納村の砂浜海岸)

5. 学生の声

「大学生活」みなさんは、この言葉にたくさんの想いを持っていることでしょう。大学には高校生までとは全く違う魅力的な生活が待っています。高校までと大きく違うのは、みなさんにとって自由に使える時間がたくさんあるということです。私はこの時間の多くを、自分の専門である土木工学の勉強、小さい頃から続けているサッカー、そして友達と遊ぶのに使っています。また、大学にはいろいろな人との貴重な出会いもあります。知識豊富な先生、何でも話せる友達、頼れる先輩など、そこで出会う人はきっとみなさんの可能性を広げてくれるはずです。そんな大学生活を私たちと一緒に enjoy しましょう。

米国ワシントン大学(北米でも有数の美しいキャンパス)で研究打ち合わせする神戸大学の学生

学生の声

:「大学で勉強する1番の魅力は、やっぱり自分の興味のある分野を専門的に勉強できるってことだよね。」

:「そうだね、高校時代と比べて狭い分野の内容に絞られるから、同じような勉強している友達と議論したりもできるしね。」

:「似たようなことやりたいけど、全然違う考えを持った人といっぱい出会えることもすごく魅力的だよね。」

:「あとやっぱり設備が整ってる! 図書館にパソコンに知識豊富な先生!」

:「そうだねー。けどそれをどう活かすかは自分次第っていうのもまた楽しいところだね(笑)」

:「何にせよ、自分からあれしたい、これしたいっていうのが叶う場所だよね。」

水理実験中の学生
河川見学会
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